[vol. 011 2023年1月] 1月23日は海洋地球科学にとって重要な記念日!/阿部なつ江

写真は、筆者がしんかい6500で潜航調査した際のもの。日本海溝にて

早いもので、1月もあっという間に下旬です。記録的な寒波が到来する予想ですので、皆様どうかお気を付けてお過ごし下さい。

閑話休題。今日1月23日は、海洋地球科学にとって2つの記念日がある、とても重要な日なのです。

その1)モホロビチッチ生誕日
まず、1857年1月23日は地殻ーマントル境界であるモホ面を発見したアンドリア・モホロビチッチ教授の誕生日。今年2023年は生誕166年にあたります。

海洋地殻からモホを貫通し、マントルまでの掘削(モホール計画)は、1960年代に米国で始まった計画ですが、未完のままです。モホの下のマントルは未だ人類が直接触れたことのない地球内部のフロンティアなのです。
マントル掘削は、世界と日本の海洋科学掘削のフラッグシップイニシアティブの一つとして、2050年までの科学掘削計画に掲げられています。

その2)トリエステ マリアナ海溝潜航記念日
そして1960年1月23日には、スイスの物理学者オーギュスト・ピカールが設計したイタリアの潜水艇「トリエステ」が、マリアナ海溝最深域のチャレンジャー海淵に着底しました。水深10,911mです。
その後の潜水調査船の開発は、フランスの「ノチール」、米国の「アルビン」、そして我らが日本の「しんかい6500」、中国の「蛟竜」と現在開発中と言われているフルデプス船、さらに、米国を中心とした民間が開発しているフルデプス潜水船がありますが、63年も前に既に地球の深海最深部に潜っているのは凄いですよね。

また、このトリエステの功績を祝って、世界的にも #OceanExplorationDay  と呼ばれています。

深海やさらにその下の地球内部の世界の探求は、海洋の仕組みの解明とともに、地球46億年の成り立ちから将来の姿を予想する研究へと繋がっています。
(写真は、筆者がしんかい6500で潜航調査した際のもの。日本海溝にて)

写真は、筆者がしんかい6500で潜航調査した際のもの。日本海溝にて

関連サイト
●アンドリア・モホロビチッチ教授について:http://rses.anu.edu.au/~hrvoje/Tkalcic_SSJ2016.pdf
●モホール計画について:http://earth.s.kanazawa-u.ac.jp/~umino/EarthHistory/EH04_Mohole_PPT.pdf
●マントル掘削について:https://www.jamstec.go.jp/mare3/j/mdp/
●イタリア潜水艇「トリエステ」 wiki:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%86_(%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%87)
●トリエステについて(英語サイト):https://www.history.navy.mil/research/histories/ship-histories/danfs/t/trieste.html
●ノチール号について:https://kotobank.jp/word/%E3%83%8E%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%8F%B7-157634
●アルビン号について:https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%B3-161080
●しんかい6500について(JAMSTEC特設サイト):https://www.jamstec.go.jp/shinkai6500/
●蛟竜号について:http://j.people.com.cn/95952/8294693.html