海の星ーヒトデ

クリスマスといえば星、ということで、引き続き海星(ヒトデ)の話です。カニや貝とともに、磯でよく見られる無脊椎動物としてなじみ深いですよね。でも、系統的にみると、ヒトデの属する棘皮動物は、エビやカニや昆虫(節足動物)よりも、貝やイカやタコ(軟体動物)よりも、私たちヒトを含む脊椎動物に近いグループです。意外ではないですか? 棘皮動物にはほかに、ウニやナマコの仲間がいます。

写真の個体は、数年前の実習で学生さんが捕まえたイトマキヒトデで、本州沿岸で最も目につきやすい種の1つです。体表はモスグリーンと赤で、まさにクリスマスカラー。色や模様には個体差もありますが、ひっくり返すと口側は大体オレンジ色です。ヒトデには、青や赤、紫、黄色など、色鮮やかな種も多く知られますが、その体表には、トマトやニンジンの色でおなじみのカロテノイドがふんだんに含まれています。こうしたカロテノイドによる鮮やかな色彩の重要な役割の一つは、浅い海で、強い光や活性酸素から身を守ることだと考えられています。

ヒトデの寿命は良く調べられているとは言えませんが、10年や、種によっては34年も生きたという報告もあります。また、サポニンという昆虫の忌避剤にも使われる配糖体を持ち、ヒトを含む動物に捕食されにくいので、この写真の彼(または彼女)が、いまも三浦半島の海で元気にしているといいなあ、と思います。

【参考文献】Rahman, M.A. et al., 2018, The sea stars (Echinodermata: Asteroidea): Their biology, ecology, evolution and utilization. SF J Biotechnol Biomed Eng. 2018; 1 (2), 1007.