前職のとき、春先に放流されたサケ稚魚が、根室湾内のどのあたりでどの程度育っているかを調べていました。写真は、海洋環境調査班で採水作業をしていたときの様子です。STDで水温・塩分測定、横型ニスキンで安定同位体・栄養塩の採水を行っていました。稚魚は別の船による2艘曳網で採取してました。
その当時は、年によって変動はあるものの、だいたい6月の今時期あたりから、沿岸域で育った稚魚が沖合の太平洋亜寒帯域に向かって出ていき始めていました。
鮭と言えば秋の味覚。塩焼き、ムニエル、ルイベでも美味しいです。
でもこの季節、稚魚とすれちがうように初夏に現れる貴重な鮭もいます。
本来は放流から4年の歳月をかけて戻ってくる鮭の若い個体が、秋を待たずに日本近海に現れ、季節外れに獲れることから「時鮭(ときしらず)」と呼ばれています。「時不知」とも書かれます。まだ卵や精巣が未熟な分、全体に栄養がいきわたり、たいそう美味だそうです。
希少で高嶺の花ですが、いつかご縁があればお目にかかりたい逸品です。
小熊幸子